【K-POPファンダムとは?】K-POPカルチャーの発展に寄与したファンコミュニティの特徴や影響力を解説

【K-POPファンダムとは?】K-POPカルチャーの発展に寄与したファンコミュニティの特徴や影響力を解説 文化

K-POP好きの人なら、BTSやTWICEなどのアーティスト名と併せて、「A.R.M.Y」や「ONCE」などの愛称とともに「ファンダム」という言葉を耳にすることも多いのではないでしょうか。

日本では余り馴染みのない言葉ですが、韓国の「ファンダム」は、時代とともに進化を続け、K-POPカルチャーの発展に大きく寄与してきました。

今回は、韓国の「ファンダム」について、その文化や歴史、世界へ与えた影響について解説します。

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「ファンダム」とは?

「愛好家」の意味である英語の「fan(ファン)」に、「支配・領域」を意味する接尾辞の「-dom」を組み合わせた言葉である「ファンダム(Fandom)」。
アイドルやアーティスト、俳優、スポーツ選手などを対象にした“熱狂的なファン集団”を指す言葉であり、なかでもK-POPアイドルのファンダムは、非常に強い結束があるのが特徴です。 

また、テレビの普及による大衆文化の拡散に伴い、ファンダムが社会的・文化的な影響力を強めていったことで、「ファンダム文化」という言葉も生まれました。
ファンダムの規模は、だいたい1グループあたり数1,000人~数10万人といわれていますが、BTSのファンダム「A.R.M.Y(アーミー)」は5,000万人〜1億人にまでのぼると推定されています。

2020年基準で7兆9000億ウォン(約7900億円)と推定されていた韓国国内のファンダムビジネス市場規模は、2025年現在で10兆ウォン(約1兆円)に近いといわれています。

2019年にサービスを開始したグローバルファンコミュニティープラットフォーム「weverse」は、2025年4月基準で160組を越え、2024年第3四半期の月間アクティブ利用者数は970万人を突破しました。

日本の『ファンクラブ』との違いは?

主に、アーティストの所属事務所や、所属事務所から委託を受けた運営会社が主催・運営している「組織」、またはその組織に属する「会員」を示すのが日本の『ファンクラブ』です。

それに対し、韓国の「ファンダム」は、アーティストのファンたちが集結して生まれる自発的な集団を指します。

韓国にも、日本と同様に公式ファンクラブがありますが、ファンダムに属する人全員が公式ファンクラブの会員とも限らないため、ファンダム=公式ファンクラブ会員ではありません

K-POPファンダムの役割や活動とは?

韓国のファンダム最大の特徴は、多岐にわたる精力的な活動と交流を通じて繋がりを深めていくことです。

情報発信

もっとも頻繁におこなわれている活動は、SNSを駆使した情報発信です。

公式発表の情報はもちろん、SNSやファンコミュニケーションプラットフォームへアーティストたちが投稿したメッセージ、その他テレビ、ラジオ、動画コンテンツへの出演情報などさまざま。

ファンダムによる発信で、ファン同士が情報を逃すことなくキャッチできると同時に、盛んな交流がおこなわれています。

アルバム活動(カムバ)の支援

ファンダムの活動の中で最も比重を占めるといっても過言ではないのが、アルバム活動(カムバ)の支援

アーティストのアルバムリリースに合わせてファンダムが一斉にCDを購入し、音源やミュージックビデオのストリーミング再生オンライン投票などをおこなうことで、CDの売上記録や音源チャートの好成績、音楽番組での1位獲得を援助します。

K-POP界においてアルバム活動の成功には、ファンダムの支援が必要不可欠と考えられています。

広告掲載活動

ファン同士で資金を出し合い、地下鉄の構内やバス停などのデジタルサイネージに広告を掲載することも、ファンダムの活動内容のひとつです。

広告の内容として大きな割合を占めるのは、アーティストの誕生日をお祝いする「センイル広告」と、オーディション番組に参加している練習生を支援するための「オーディション応援広告」の2種類。

広告掲載を知ったアーティストや練習生本人が掲載現場を訪れて“認証写真”を撮影・公開するというファンにとってうれしい付加価値も生まれたことで、多くのファンダムへと波及していきました。

オーディション番組の応援

オーディション番組に参加している練習生がデビューを掴むための惜しまぬ支援もファンダムの役割です。

広告掲載活動のきっかけといわれる『PRODUCE 101』シリーズをはじめとするオーディション番組は、視聴者による投票が参加練習生の順位を左右する大きな力を持っているため、特定の練習生のデビューを願う熱狂的なファンが自身で投票を行うのみならず、広告を掲載するなどのプロモーション活動を通じて、練習生を支援しています。

K-POPファンダム誕生の背景と歴史

第1世代:ファンダムの誕生

韓国でアイドルのファンダム文化が誕生したのは、1992年。

YGエンターテインメントの創立者であるヤン・ヒョンソクが所属し、K-POP文化にも大きく寄与したヒップホップグループ・ソテジワアイドゥルの熱狂的なファンが、K-POPアイドルのファンダムの原型といわれています。

さらに、1990年代後半に韓国で人気を二分したグループ、H.O.T.とSechs Kiesによって、ファンダム文化が形成されていきました。グループカラーや応援グッズ、曲の合間に掛け声を入れる応援法は、H.O.T.の公式ファンクラブClub HOTが発祥です。

また当時のファンダムの活動は、コンサートやファンミーティングへ参加するほか、ファンレターを送るなどに限られていました。

第2世代:インターネット普及によるファンダムの拡大

2000年代に入るとインターネットが普及し、ファンサイトやオンラインフォーラムを通じたファン同士の情報共有やコミュニケーションがより容易になったことで、K-POPファンダムは拡大

インターネットの普及により、K-POPファンダムはアジア全域からアメリカなど、海外にまで拡がりを見せました。

第3世代以降の本格的なグローバル化の基盤を作ったのが第2世代であり、ファンダムの規模や形態が劇的に変化した世代です。

第3世代:SNSによるファンダム活動の加速とグローバル化

2010年代、TwitterやInstagram、YouTubeなどのSNSがファンダムの交流や活動を活発化。SNSはアイドルとファン、さらにファン同士の距離の縮めることに貢献し、世界中のファンが繋がることができるようになりました。

中でも、BTSやTWICE、BLACKPINKなどのグループがグローバルに成功を収め、PSYの「Gangnam Style」が世界中で人気を博すなど、K-POP自体がグローバル現象へと成長するに伴いファンダムもグローバル化しました。

第4世代:デジタルフォーマットの進化と多様性

2020年代突入と同時に、新型コロナパンデミックにより世界中が混乱の渦に巻き込まれました。

コンサートやファンミーティング、ファンサイン会などK-POP界の要でもあるオフラインイベントの開催が叶わなくなったことにより、オンラインコンサートや“ヨントン”と呼ばれるオンラインサイン会など、オンラインファンイベントが誕生

第2世代でインターネットが、第3世代でSNSが普及し、第4世代ではデジタルフォーマットへと進化を遂げていきました。

さらに、K-POPファンダムはグローバルに拡がり続けるだけに、国籍や人種を超えた多様性を受け入れる包括性が特徴で、よりポジティブなコミュニティとして構築されています。

押さえておきたい大規模K-POPファンダム

韓国のファンダムには、グループ名にちなんだ名前が付けられており、「○○○ファン」と表現するよりもファンダム名で呼称するのが一般的です。

グループ名ファンダム名読み方
東方神起Cassiopeiaカシオペア
BIGBANGVIP ブイアイピー
SUPER JUNIOURE.L.F. エルフ
少女時代S♡NEソウォン
KARAKAMILIAカミリア
SHINeeSHINee WORLDシャイニーワールド
EXOEXO-L エクソエル
BTSA.R.M.Yアーミー
TWICEONCEワンス
BLACKPINKBLINKブリンク
TOMORROW X TOGETHERMOAモア
NCTNCTzenエヌシティズン
SEVENTEENCARATカラット
Red VelvetReVeluvレベロブ/レベラブ
ENHYPENENGENEエンジン
Stray KidsSTAYステイ
ITZYMIDZYミッチ
aespaMYマイ

「コンカ(公式ペンカフェ)」とは

「コンカ」の特徴

「コンカ」と呼ばれる「公式ファンカフェ」は、事務所公認のファンコミュニケーションプラットフォームです。

主な機能は、公式スケジュール・お知らせの確認、ファン同士の交流、サノク(事前収録)・食事サポートなどの申請、メンバーの写真・メッセージの閲覧です。

公式ファンクラブとの違いは?

コンカはランク制度によって利用制限があるものの基本的にすべてが無料で利用できるのに対して、公式ファンクラブは有料である点が、もっとも大きな違いです。

公式ファンクラブは、所属事務所やアーティストごとに異なりますが、約1年〜1年半程度の期間限定の入会費制度、常時入会可能な入会費+年会費制度の2種類が主流です。

入会費もアーティストによって異なりますが、おおよそ20,000〜35,000ウォンで、主なファンクラブ特典は下記の通りです。

・ファンクラブ会員証と豪華特典グッズ
・コンサートやファンミーティングチケットの先行販売
・音楽番組の事前収録や公開放送への優先参加
・コンカの最上級会員権 (優秀会員)

「コンカ」の加入方法

①「Kakao Talk」アプリをダウロードし、アカウントを作成
②「Daum Cafe」アプリをダウロードし、Kakao Talkのアカウントで会員登録
③ 加入したいファンカフェを選ぶ
④ ニックネーム・メール受信設定、カフェからの質問への回答送信
⑤ 「가입완료(加入完了)」が表示されれば加入完了

上記の通りアカウント登録をすれば準会員として無料で加入できますが、多くのコンカには会員ランクとランクによる利用機能の制限が設けられています。

正会員になるには、等級アップ申請を行い、承認されることが必要です。

K-POPファンダムが世界に与えた影響力

BLM運動にBTSと同額の1億円を寄付「One In An ARMY」

K-POP界屈指の巨大ファンダムであるA.R.M.Yは現地時間2020年6月6日の夜、100万ドルを募るキャンペーン#MatchAMillionを開始

これに先立ち同日、BTSが所属事務所のBig Hit Entertainmentとともに、黒人男性が白人警官に殺害された事件を発端に広がった人種差別抗議運動である「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター/黒人の命は重要)運動」へ100万ドル(約1億900万円)寄付したことが明らかになりました。

これを受けてA.R.M.Yも募金を開始すると、なんと24時間以内に目標金額を達成。

BLM運動や人種平等に取り組む団体へ寄付し、グローバルに拡大し続けるK-POPファンダムの影響力を証明しました。

気候変動対策に取り組むK-POPコミュニティ「KPOP 4 PLANET」

前述のA.R.M.Yの「BLM運動」への寄付にインスピレーション受けて設立されたのが、気候変動の解決に取り組む団体「KPop4Planet」です。

「私たちがK-POPを楽しむ“最後の世代”にならないように」をテーマに掲げ、気候変動や環境保護問題を発信。

K-POPファンダムの持つ影響力を地球の未来のために活かすことで、持続可能なK-POP文化を目指すためのプラットフォームです。

K-POPの発展を支え続け、グローバルに影響力を持つK-POPファンダム

インターネットやSNSの普及とともに、K-POPが世界中で人気を博し、K-POPファンダムも拡大を続けてグローバル化へと発展を遂げました。

世界へと広がったK-POPファンダムは、多様性を尊重して人種差別問題への抗議運動を支持し、持続可能なK-POPカルチャーのために地球環境問題解決に取り組むなど、K-POPという枠を超え、国際的に大きな影響力を発揮しています。

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